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NvidiaがGroqを200億ドルでアクハイア
2025年12月25日、Nvidiaが、AI半導体スタートアップ「Groq」に対して、200億ドル(約3兆円)のアクハイア(特定の技術や優秀な人材を獲得する目的のM&A)を実施しました。Groqの推論チップ技術に対する非独占ライセンスの支払いと、創業者Jonathan Rossおよび主要エンジニアの雇用を行いますが、会社そのものを直接買収するわけではありません。これにより、NvidiaはAI推論チップの地位を強化するための技術と人材を獲得しつつ、厳しい独占禁止法の監視を回避でき、Groqは前回の資金調達ラウンド後に約69億ドルで評価された独立したスタートアップとして存在し続けます。
Nvidiaのこの動きはメモリー価格の高騰と供給能力の制約に対する防衛策として、非常に優れた一手です。AIデータセンターの構築に際して、HBM(High Bandwidth Memory)と呼ばれる複数のDRAMチップを積層した広帯域メモリーの供給がチョークポイントになりつつあります。
一方でGroqの推論チップは、オンチップSRAM (Static Random Access Memory)というチップ上に配置されるより高速だが高価なメモリーを活用するアーキテクチャーになっているため、Groqの推論チップを使えばこのチョークポイントを回避することができます。ただし、SRAMの容量には限りがあるという難点があるため、システム全体、特にAIモデルをハードウェアに適合する演算スケジュールへ変換するコンパイラがSRAMを中心に設計されていない限り、このメリットは得られません。そして、このコンパイラこそがGroqのコア技術というわけです。
ところで調べたところによると、HBMとオンチップSRAMでは供給元が異なるようです。
- HBM→メモリーfab(主な企業:SKハイニックス57%、マイクロン35%、サムスン電子8%)
- オンチップSRAM→ロジックfab(主な企業:TSMC71%、サムスン電子7%、SMIC5%)
そのため、共通の上流要素(材料・一部装置・人員・電力/用地など)が逼迫した場合はそこがボトルネックにはなるものの、オンチップSRAMの推論チップは、HBMへの依存度が低い推論アプローチ確保の良策と言えるのです。
対象エピソード:
- Ep.814 Nvidia、200億ドルの衝撃──「Groq」の実質買収で狙う“推論”の完全制覇(2026年1月1日配信)
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