こんにちは!代表取締役 兼 AIサービス開発室の鈴木生雄です。ポッドキャストを更新しました。
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GENIACの支援を受けたサービスや実証結果が続々公表、国産AIサービスの萌芽
GENIACは、日本政府が進める生成AI開発支援プロジェクトです。正式には “Generative AI Accelerator Challenge” といい、経済産業省とNEDOが中心となって、国内企業による大規模言語モデルなどの開発を、計算資源や資金面で後押しする枠組みです。今週はこのGENIAC関連のニュースを複数見つけたので取り上げてみることにしました。
まず、GENIAC採択企業の一つであるSakana AIが、2026年3月24日、既存の強力なオープンAIモデルを日本仕様に適応させた試作モデルシリーズ「Namazu」のアルファ版と、それを搭載した無料のチャットサービス「Sakana Chat」を公開しました。オープンAIモデルであるDeepSeek-V3.1-Terminus、Llama-3.1-405B、gpt-oss-120Bを、事後学習によって日本と他国に関連する政治・歴史・外交テーマにおいて、客観的な立場からの多角的な情報提示(中立性)と、それら事実の網羅性(正確性)の精度を高めたそうです。
一方で、同じGENIAC採択企業である楽天が前週に発表したAIモデル「Rakuten AI 3.0」に関してちょっとした騒動が巻き起こりました。「Rakuten AI 3.0」が「DeepSeek-V3」を事後学習して作られたモデルであることが、第三者によって後から明らかになったことで起こりました。決して嘘をついていたわけではないのですが、ベースモデルの具体的な名称を積極的に明示していなかったため、「ゼロから開発された純粋な国産AIだと思っていた」というビジネス層などから、情報の透明性を欠いているのではないかという厳しい指摘がSNSを中心に相次ぐ事態となりました。
技術的な観点から見れば、現在世界トップクラスの性能を誇るDeepSeek-V3などをベースに採用し、それを日本語の文化やビジネス習慣に合わせて最適化したこと自体は、非常に合理的で高度なエンジニアリングの実績だと思います。しかし、楽天は、(日本政府が進めるGENIACのプロジェクトであるにも関わらず、)純国産AIでないという批判を受けることを懸念したのか、公開時に基盤モデル名を明示しなかったため、これが仇となった格好です。(ちなみに、後からモデルを公開したSakana AIは基盤モデル名を三つとも明示しています。)基盤モデルの開発には多大なコストがかかるので、既存のモデルを最適化するアプローチをとるのはごく自然なことだと思います。(事情を知らないで勝手なことを言っているかもしれませんが、)楽天にも堂々と発表してほしかったなと思いました。
さてそれから、2026年3月24日には、生成AIの社会実装を強力に後押しする懸賞金プログラム「GENIAC-PRIZE」の表彰式がありました。AIの社会実装は、日本独自の基盤モデル開発と同じくらい、重要なテーマです。表彰式当日は最終プレゼンが行われたようでして、このもようはYouTubeで視聴できます。これだけ大がかりな実証結果を知れる機会はあまりないと思うので、興味ある方は是非見てみてください。
【製造業の暗黙知形式知化 部門】
1位 ダイキン工業株式会社/Fairy Devices株式会社
熟練者の代わりに作業者を支援するAIエージェントの開発
2位 三菱重工業株式会社/株式会社Algomatic
Tig溶接技術を例にした熟練者・非熟練者の作業動画の”比較”アプローチによる暗黙知の形式知化
3位 NanoFrontier株式会社
LLMを活用した実験自動化
【カスタマーサポートの生産性向上 部門】
1位 株式会社未来都/newmo株式会社
タクシー配車業務のAI音声対応
2位 東洋船舶株式会社/株式会社JDSC
船主支援のAI番頭。メールと社内文書を資産に変える!
3位 一般財団法人在宅がん療養財団/株式会社シャルクス
がん相談エージェント「ランタン」:あなたは一人ではありません
※ カスタマーサポートの生産性向上部門のプレゼンは 00:33:00 頃から、製造業の暗黙知形式知化部門のプレゼンは 02:06:20 頃から始まります。
対象エピソード:
- Ep.1050 懸賞金総額8億円!NEDO「GENIAC-PRIZE」が切り拓く国産AIの社会実装(2026年3月26日配信)
- Ep.1049 Sakana AIが放つ日本特化型モデル「Namazu」──グローバルAIを地域に適応させる新戦略(2026年3月26日配信)
- Ep.1048 Rakuten AI 3.0騒動──“国産最大”LLMの正体とオープンソース時代の透明性(2026年3月26日配信)
ラインナップ
- Ep.1050 懸賞金総額8億円!NEDO「GENIAC-PRIZE」が切り拓く国産AIの社会実装(2026年3月26日配信)
- Ep.1049 Sakana AIが放つ日本特化型モデル「Namazu」──グローバルAIを地域に適応させる新戦略(2026年3月26日配信)
- Ep.1048 Rakuten AI 3.0騒動──“国産最大”LLMの正体とオープンソース時代の透明性(2026年3月26日配信)
- Ep.1047 Cursor「Composer 2」の正体は中国AI──オープンモデル活用と透明性を巡る波紋(2026年3月26日配信)
- Ep.1046 KADOKAWAとnoteが資本業務提携──AI時代の「次世代IP運用エコシステム」とは(2026年3月26日配信)
- Ep.1045 ClaudeがついにMacを直接操作──AIが「自律型スタッフ」へと進化する日(2026年3月26日配信)
- Ep.1044 FigmaキャンバスがAIエージェントに開放──“Design to Code”の完全自動化へ(2026年3月26日配信)
- Ep.1043 Cloudflareが放つ次世代エッジ環境「Dynamic Workers」──サーバーレスの新たな地平(2026年3月26日配信)
- Ep.1042 Browser Use CLI 2.0がもたらす革新──AIがあなたのブラウザを超高速で操る日(2026年3月26日配信)
- Ep.1041 GoogleのAIデザインツール「Stitch」が大幅進化──“Vibe Design”が変えるアプリ開発とFigmaへの衝撃(2026年3月26日配信)
- Ep.1040 スマホからAIに仕事を丸投げ──Anthropicが放つ「Claude Cowork Dispatch」の衝撃(2026年3月26日配信)
- Ep.1039 OpenAIが開発ツール企業「Astral」を買収──AIコーディングは“ツール統合”の時代へ(2026年3月26日配信)
