2026.10.15

名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト(2026年10月15日)

Podcast

SCROLL DOWN SCROLL DOWN SCROLL DOWN

こんにちは!代表取締役 兼 AIサービス開発室の鈴木生雄です。ポッドキャストの一週間のまとめをお伝えします。

注目ニュース

※ 今回の注目ニュース記事は、私が質問したり意見を言ったりして、ChatGPT-5.6 solに生成してもらった文章となっています。私としてはかなり興味深い議論ができたと思ったので、同じチャット内でブログ記事にしてもらった次第です。ご了承ください。

ロケットを箸でつかみ、衛星をお菓子のように放出する──SpaceXが切り拓く宇宙インフラの未来

2026年10月8日、イーロン・マスク氏率いるSpaceXが、米国の投資会社Grain Managementから全米規模の800MHz帯の周波数ライセンスを取得することで合意したと発表しました。800MHz帯は、日本では「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯の一つです。比較的遠くまで電波が届き、建物などの障害物にも強いため、携帯電話の通信網を構築するうえで非常に価値があります。SpaceXといえばロケットの開発や衛星インターネット「Starlink」で知られる企業ですが、今回の周波数取得によって、米国の携帯通信市場への本格的な参入を目指していることが明確になりました。このニュースを受けて、AT&T、Verizon、T-Mobileといった米国の大手通信キャリアの株価は大きく下落しました。

しかし、私が今回注目したのは、携帯キャリアへの参入というニュースだけではありません。その少し前の9月28日、SpaceXは巨大ロケット「Starship」の第14回飛行試験に成功し、次世代通信衛星「Starlink V3」を26基、初めて軌道に投入しました。このロケットの開発には、従来の常識からは考えられないような斬新なアイデアが次々と採用されています。そして、こうした技術革新が、通信だけでなくAIの計算インフラまで変えようとしているのです。

ロケットを箸でつかみ、衛星をお菓子のように放出する

SpaceXが開発を進めるStarshipは、月や火星への有人飛行だけでなく、大量の人工衛星を低コストで宇宙へ運ぶことも目的とした、巨大なロケットです。Starshipには、私が特に面白いと感じている仕組みが二つあります。

一つ目は「チョップスティック」です。

通常、ロケットは打ち上げ後に海へ落下したり、逆噴射によって地上の着陸設備に着陸したりします。しかしSpaceXは、ロケットの発射塔に取り付けた巨大な2本のアームを使い、帰還してきたブースターを空中でキャッチするという方法を考えました。その姿が箸で物をつかむ様子に似ていることから「チョップスティック」と呼ばれています。2024年10月13日、SpaceXは実際にSuper Heavyブースターの空中キャッチに成功しました。

初めてこの映像を見たときは、本当に驚きました。巨大なロケットを、まるで箸でつかむように受け止めてしまうのです。

もちろん、ただ面白いことをしているわけではありません。ロケット側に巨大な着陸脚を装備する必要がなくなれば、その分だけ機体の重量を減らせます。また、打ち上げ設備で直接回収することによって、再整備から再打ち上げまでの時間を短縮できる可能性もあります。つまり、ロケットを繰り返し使用するための合理的な設計なのです。

もう一つが「ペッツディスペンサー」です。

PEZ(ペッツ)というお菓子をご存じでしょうか。キャラクターの頭がついた容器を操作すると、中から薄いラムネのようなお菓子が一つずつ出てくる、あのお菓子です。SpaceXは、この仕組みに似た方法で人工衛星を宇宙に放出しています。Starlinkの衛星は平たい板のような形状をしており、ロケット内部に積み重ねて収納できます。そして軌道上に到達すると、機体側面の細長い開口部から、衛星が次々と押し出されていくのです。

この仕組みについては、ITmediaのこちらの記事でも詳しく紹介されています。巨大な扉を開閉することなく、比較的小さな開口部から大量の衛星を放出できるため、機体構造の簡素化や衛星の効率的な配置につながります。

ロケットを箸でつかみ、衛星をお菓子のように放出する。言葉だけ聞けば冗談のようですが、SpaceXはこうしたアイデアを実際のエンジニアリングとして成立させてしまうところが面白いと思います。

宇宙から携帯電話へ──Starlink Mobileの可能性

こうしたロケット技術の進化が、SpaceXの通信事業を支えています。これまでStarlinkは、主に専用のアンテナを設置して利用する衛星インターネットとして普及してきました。山間部や海上など、地上の通信インフラを整備することが難しい地域でもインターネットを利用できることが強みです。

しかし、SpaceXが次に目指しているのは、私たちが普段使っているスマートフォンを、人工衛星へ直接つなぐ「Starlink Mobile」です。これが実現すれば、地上の基地局が存在しない場所でも、対応するスマートフォンで通信できるようになります。ただし、衛星から直接通信するには、電波の届きやすさや通信容量などの課題があります。特に建物の内部や都市部では、衛星だけで既存の携帯通信網と同等の品質を提供することは簡単ではありません。

そこで重要になるのが、今回取得合意に至った800MHz帯です。SpaceXは、衛星通信と地上の通信設備を組み合わせることによって、従来の携帯キャリアに対抗できるサービスの構築を目指しています。もちろん、周波数を取得するだけで全国規模の携帯通信網が完成するわけではなく、今後は相当な設備投資も必要になるでしょう。

それでも、この動きには通信業界の常識を変える可能性があります。従来、携帯キャリアが全国規模の通信サービスを提供するには、膨大な数の基地局を設置しなければなりませんでした。しかし衛星によって広い地域をカバーできるようになれば、人口密度の低い地域と高い地域で、地上設備の配置を最適化できるかもしれません。ここでもSpaceXは、既存の制約条件を変えようとしているわけです。

そしてStarlinkの進化には、私自身も身近なところで期待していることがあります。それが航空機のWi-Fiです。私は飛行機で移動する機会があるのですが、機内でインターネットが利用できなかったり、利用できても通信が不安定だったりすることに、しばしば不満を感じます。飛行機で移動している間も、メールを確認したり、Webサイトを閲覧したり、必要に応じて仕事を進めたりしたいものです。Starlinkを使った航空機向け通信サービスはすでに実用化されており、2026年9月にはアシアナ航空が一部機材で無料のStarlink機内Wi-Fiを開始しました。また、10月8日にはアメリカン航空が1,000機を超える主要機材へのStarlink導入計画を発表しています。

航空機向けStarlinkは、スマートフォンが衛星へ直接接続するStarlink Mobileとは異なる仕組みですが、どちらも低軌道衛星ネットワークを活用したサービスです。飛行機の中でも地上と変わらない感覚でインターネットを利用できることが、当たり前になる日が来るかもしれません。航空会社各社による導入が進むことを、個人的にも大いに期待しています。

次はAIデータセンターを宇宙へ

さらに面白いのは、宇宙への大量輸送と衛星通信の技術が、AIの計算インフラにも利用されようとしていることです。SpaceXは、宇宙空間にAIの計算設備を配置する「Starmind」という構想を進めています。地上のデータセンターでは、AIの学習や推論に必要な電力の確保が大きな課題になっています。大量のGPUを稼働させるには膨大な電力が必要であり、電力設備の増強や冷却設備の整備が、データセンター建設の制約になりつつあります。そこで、計算設備そのものを宇宙へ持っていこうという発想です。宇宙空間では、適切な軌道を選ぶことによって、太陽光を長時間利用できます。SpaceXは、Starlink衛星で培ってきた技術やStarshipの輸送能力を活用し、宇宙に大規模なAI計算基盤を構築することを構想しています。

実は、Googleも同じような研究を進めています。Googleが2025年11月に発表した「Project Suncatcher」は、AI専用プロセッサであるTPUを人工衛星に搭載し、宇宙空間で機械学習の計算処理を行う研究プロジェクトです。2026年10月1日には、試験用の衛星がSpaceXのFalcon 9によって打ち上げられ、軌道上での実験が始まりました。

Google公式:Project Suncatcherの試験衛星が軌道へ

ここで興味深いのは、GoogleとSpaceXが異なる出発点から同じ方向を目指していることです。GoogleはAIの計算技術を宇宙へ持ち込もうとしており、SpaceXは宇宙輸送と衛星通信の技術をAI計算へ拡張しようとしています。AIデータセンターは地上に建設するものだという常識が、見直され始めているわけです。

もっとも、宇宙データセンターには解決すべき課題が山積しています。宇宙空間は真空ですから、地上のように空気の対流を利用して設備を冷却することはできません。発生した熱を宇宙へ放射するための大きな放熱設備が必要です。また、宇宙放射線への対策、衛星間の高速通信、機器の故障や寿命、そして何より打ち上げコストの問題もあります。電力という制約を解決しようとすると、今度は排熱や輸送コストが新たなボトルネックになるのです。

宇宙データセンターが地上のデータセンターより経済的に優れた選択肢になるかどうかは、まだ分かりません。しかし、地上での電力確保という問題に対して、データセンターを宇宙に置くという解決策を真剣に検討し、実際に試験衛星まで打ち上げていること自体が、非常に興味深いと思います。

イノベーションとは、制約条件そのものを変えることではないか

SpaceXの一連の取り組みを見ていると、イノベーションとは何なのかを改めて考えさせられます。ロケットを巨大な箸で受け止める。人工衛星をお菓子のように次々と放出する。宇宙からスマートフォンへ直接通信する。そして、AIの計算設備を宇宙に配置する。どれも、最初に聞いたときには突飛なアイデアに思えます。

私自身、世の中を大きく変える可能性を秘めているのは、多くの人が同じことを考えていそうな常識的なアイデアよりも、「そんなことを考えるのか」と驚かされるようなアイデアなのではないかと思っています。もちろん、奇抜であればよいというものではありません。重要なのは、そのアイデアを技術的に実現し、経済的にも成立させることです。

さらに興味深いのは、イノベーションによって一つの制約が取り払われると、今度は別の制約が表面化するということです。例えば、産業革命では蒸気機関によって人力や水力への依存が軽減され、工場の立地や生産規模の制約が大きく変わりました。しかし、生産能力が拡大すると、今度は石炭の供給、原材料の輸送、製品の流通などが重要になります。それらの課題に対応するために鉄道や物流網が発展し、さらに新しい産業が生まれました。一つのボトルネックが解消されると、それまで目立たなかった別のボトルネックが現れる。そして、その解決が次の技術革新を促す。イノベーションの歴史は、そうした連鎖の繰り返しとも考えられます。

SpaceXも同じなのかもしれません。ロケットの再利用によって宇宙への輸送コストが下がれば、大量の衛星を打ち上げられるようになります。すると今度は、衛星の製造能力や通信容量、軌道上での運用が課題になります。さらに宇宙でAIの計算処理まで行おうとすれば、電力や排熱など、新しい制約が現れます。その新たな制約を解決する過程で、また思いもよらない技術が生まれてくるのではないでしょうか。

私たちは普段、与えられた条件の中で最適解を探そうとします。システム開発においても、予算や納期、技術的な制約を前提として、どうすれば最もよいシステムを構築できるかを考えます。しかし、そもそもその制約は本当に変えられないものなのでしょうか。

SpaceXのエンジニアリングを見ていると、与えられた制約の中で工夫するだけでなく、制約条件そのものを変えることを考える重要性を感じます。そして、その結果として生まれる新しいボトルネックこそが、次のイノベーションの出発点になるのかもしれません。

対象エピソード:

  • Ep.1549 SpaceX、プラチナバンド取得で携帯キャリア参入へ──米通信大手を震撼させる「Starlink Mobile」の衝撃(2026年10月10日配信)

    ラインナップ

    • Ep.1556 Google「Gemini 4 Argon」を一般提供開始──自律型タスク実行とコーディング性能が切り拓く新時代のAIワークフロー(2026年10月14日配信)
    • Ep.1555 Metaの逆襲──「Muse Wonder」が切り拓くパーソナル超知能と自律型エージェントの時代(2026年10月13日配信)
    • Ep.1554 マイクロソフト、第3世代AIチップ「Azure Maia 300」のアーキテクチャを公開──LLM推論の電力効率とスケーラビリティを極限まで追求(2026年10月13日配信)
    • Ep.1553 Nous Researchが9000万ドルを調達──オープンソースと「ユーザー主権」のAIエージェントで巨大企業に挑む(2026年10月13日配信)
    • Ep.1552 Cloudflareの新モデル「Clef-omni」──文章を生成しない“判断AI”がもたらす自動化の波(2026年10月13日配信)
    • Ep.1551 Microsoft、超高速・低コストの意思決定特化AI「Microsoft-Decision-1」を発表──エージェントの遅延問題を打破(2026年10月10日配信)
    • Ep.1550 Google Cloud、汎用エージェント「Gemini agent」を発表──AIが“チームの同僚”になる日(2026年10月10日配信)
    • Ep.1549 SpaceX、プラチナバンド取得で携帯キャリア参入へ──米通信大手を震撼させる「Starlink Mobile」の衝撃(2026年10月10日配信)
    • Ep.1548 Microsoft、推論課金ゼロのローカルAI「MAI-Code-1.1-Flash」を発表──ハイブリッド環境で加速するコーディング支援(2026年10月10日配信)
    • Ep.1547 Anthropic、最速・最安モデル「Claude Haiku 5.5」を発表──APIコスト大幅削減でGPT-6 Lunaに対抗(2026年10月8日配信)
    • Ep.1546 Microsoft、Windowsの新たなAIビジョン「Hybrid Intelligence」を発表──ローカルとクラウドの融合がもたらすエージェントの未来(2026年10月8日配信)

    Apple Podcast

    Apple Podcastsで聴く

    Amazon Music

    Amazon Musicで聴く