2026.11.4

名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト(2026年11月5日)

Podcast

SCROLL DOWN SCROLL DOWN SCROLL DOWN

こんにちは!代表取締役 兼 AIサービス開発室の鈴木生雄です。ポッドキャストの一週間のまとめをお伝えします。

注目ニュース

サプライチェーンのセキュリティ対策に共通の物差し──IPAが「SCS評価制度」の評価ガイドを公開

2026年10月28日、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」について、評価用ガイドと解説書を公開しました。2027年3月に予定されている制度の運用開始に向けて、企業がどのような対策を実施し、どのように評価を受けるのかが、より具体的になりました。

この制度は、企業のサイバーセキュリティ対策の水準を共通の基準で評価し、星の数によって可視化する仕組みです。特に注目したいのは、個々の企業のセキュリティを強化するだけでなく、サプライチェーン全体のセキュリティ水準を引き上げることを目的としている点です。

なぜサプライチェーン全体のセキュリティ対策が必要なのか

近年、企業を狙うサイバー攻撃では、標的となる大企業に直接侵入するのではなく、取引先や委託先を経由して侵入を試みる「サプライチェーン攻撃」が大きな問題となっています。

例えば、大企業が高度なセキュリティ対策を講じていたとしても、取引先の対策が十分でなければ、そこが攻撃の入口になる可能性があります。

これはIT業界に限った話ではありません。自動車や電力、金融など、多くの産業では複数の企業が協力して製品やサービスを提供しています。そのため、一社だけがセキュリティを強化しても、サプライチェーン全体の安全性が確保されるとは限らないのです。

こうした背景から、大企業を中心に、取引先に対して一定のセキュリティ対策を求め、その実施状況を確認する動きが広がっています。

★3と★4で段階的に評価する仕組み

SCS評価制度では、セキュリティ対策の水準に応じた段階別の評価を行います。

2027年3月に登録申請の受付開始が予定されているのは、★3と★4の2段階です。

★3は、一般的なサイバー攻撃に対処するための基本的な水準として位置づけられています。要求事項は26項目で、企業による自己評価をセキュリティ専門家が確認する方式を採用します。有効期間は1年間です。

一方、★4は、より高度な対策を求める水準です。要求事項は43項目で、侵入を防ぐだけでなく、被害の拡大防止やインシデントへの対応なども重視されています。評価機関による第三者評価が必要で、有効期間は3年間となっています。

今回IPAが公開したのは、こうした評価を実施するための具体的なガイドや解説書です。制度が理念や方針の段階から、実際に企業が利用できる仕組みへと近づいてきたことが分かります。

なお、この制度は法律によってすべての企業に取得を義務付けるものではありません。ただし、企業間の取引において、発注側が取引先に求めるセキュリティ水準を示すための共通基準として活用されることが想定されています。

参考:IPA「SCS評価制度」の評価用ガイド等を公開

顧客からのセキュリティ要請をどう捉えるか

私たちのような企業にとって、取引先からのセキュリティ要請は、以前から身近なものです。

当社も、これまでお客様から求められるさまざまなセキュリティ要請に対応してきました。

こうした要請は、取引を継続するために必要なものというだけでなく、自社のセキュリティ対策を見直し、その水準を高めるよい機会にもなってきたと考えています。

セキュリティ対策には、これを実施すれば終わりという明確なゴールがありません。技術の進歩とともに新たな脅威が生まれ、それに応じて求められる対策も変わっていきます。

だからこそ、自社だけの視点で対策を考えるのではなく、お客様から求められる基準を取り入れながら、継続的に改善していくことには大きな意味があります。

一方で、複数のお客様と取引する立場からすると、課題もあります。

取引先ごとにセキュリティの評価基準や確認方法が異なるため、それぞれの要請に個別に対応する必要があるのです。

もちろん、お客様ごとに事業内容や取り扱う情報が異なる以上、独自の要件が存在することは理解できます。しかし、求められる対策には共通する部分も多く、類似した質問に繰り返し回答することは、発注側にとっても受注側にとっても必ずしも効率的ではありません。

その意味で、今回のように業界を横断した共通の評価基準が整備されることには、大きな意義があると感じています。

SCS評価制度がサプライチェーン全体にもたらすもの

SCS評価制度によって期待される効果は、大きく二つあると思います。

一つは、企業間のセキュリティ確認の効率化です。

発注側の企業は、取引先のセキュリティ対策状況を共通の基準で把握しやすくなります。一方、受注側の企業にとっても、共通の評価結果を活用できれば、お客様ごとに異なるチェックシートへの回答負担を軽減できる可能性があります。

もちろん、すべての個別確認が不要になるわけではないでしょう。しかし、共通化できる部分は共通化し、本当に個別の確認が必要な部分に双方の時間を使えるようになれば、合理的だと思います。

もう一つは、サプライチェーン全体のセキュリティ水準の底上げです。

共通の基準が存在することで、企業は自社に求められる対策を把握しやすくなり、改善すべき方向性も明確になります。

特に、中小企業ではセキュリティ対策に割ける人員や予算が限られているケースも少なくありません。何から取り組むべきかを判断する上でも、共通の評価基準は役立つのではないでしょうか。

もっとも、気をつけたいのは、評価を取得すること自体が目的になってしまうことです。

本来の目的は、サイバー攻撃による被害を防ぎ、万が一の際にも適切に対応できるようにすることです。評価制度は、そうした実効性のある対策を促進するための手段であるべきだと思います。

また、制度が普及するには、評価を受ける企業に過度な負担が生じないことや、発注側が評価結果を適切に活用することも重要でしょう。

私は、これまでお客様からの要請を自社のセキュリティ向上につなげてきた経験から、今回のSCS評価制度が目指す方向性には納得しています。

個々の企業によるセキュリティ対策の積み重ねが、共通の基準によって可視化され、サプライチェーン全体の安全性向上につながっていく。そんな仕組みとして、SCS評価制度が定着していくことを期待しています。

対象エピソード:

  • Ep.1579 IPAが「SCS評価制度」の評価ガイドと解説書を公開──2027年3月の運用開始に向けサプライチェーン防衛の実務基準が確定(2026年10月29日配信)

ラインナップ

  • Ep.1583 DeepSeekが「Super-agent」を公開──常駐・並列処理で挑むAIコーディング競争の新たな地平(2026年11月2日配信)
  • Ep.1582 トヨタとWaymoが自動運転協業を拡大──高岡工場製「bZ4X」で2027年に国内ロボタクシー運行へ(2026年11月2日配信)
  • Ep.1581 Googleが最上位モデル「Gemini 4 Carbon」を発表──知能指数で世界首位を奪還し、サイバー防御と数日間の自律開発に特化(2026年10月29日配信)
  • Ep.1580 Google DeepMindが世界モデル「Genie 4」を発表──環境音や会話までリアルタイム生成しGeminiが監督する次世代シミュレーション(2026年10月29日配信)
  • Ep.1579 IPAが「SCS評価制度」の評価ガイドと解説書を公開──2027年3月の運用開始に向けサプライチェーン防衛の実務基準が確定(2026年10月29日配信)
  • Ep.1578 Anthropicが創薬支援の初期成果を発表──分子設計から規制文書作成まで製薬6社と実証、自社創薬へも参入(2026年10月29日配信)

Spotify

名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストをSpotifyで聴く

Apple Podcasts

Apple Podcastsで聴く

Amazon Music

Amazon Musicで聴く