2022.8.13

新規事業立ち上げ奮闘記①

ビジネス

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こんにちは!AIサービス開発室の鈴木生雄です。最近、私は仕事以外のライフワークとして次に挙げる三つのことを始めました。革靴を作れるようになるために製靴学校に通うこと、フルマラソンに参加するためにランニングをすること、旅行をより楽しむために世界遺産検定を受験することの三つです。どれも私にとってとても楽しいことなので、長く続けていきたいと思っています。ところで、ノーベル物理学賞を受賞したことで有名な小柴昌俊先生は生前に『夢の卵を常に三つか四つ、自分の中で温めておく。』ことが大事だとおっしゃっていたそうです。夢の卵を持っておくと、必然的に時間のかけ方や情報の取捨選択にシビアになれるので、具体的な結果を出しやすくなると思います。夢を持つのが難しいという方がいるかもしれませんが、私の経験則から言うと、20年~30年前に比べて、いろんなことが誰でもすぐにやれる時代になったのは間違いありません。ですから、「これだ!」というものを見つけるために、とにかくいろいろなことを実際にやってみてはいかがでしょうか。

さて今回は、当社の夢の一つである新規事業の進め方について、投稿してみたいと思います。最初にお断りしておきますが、本エントリーは、当社の新規事業の内容ではなく、その進め方について記しています。小柴先生風に言えば、夢の卵そのものではなく、夢の卵の育て方について記しているというふうに理解してください。

新規事業の実践論

私は社会人5年目~7年目にかけて新規事業の立ち上げに関わった経験はありました。しかし、その際はビジネスオーナーとしてではなく一介のSEとして関わっただけに過ぎないため、新規事業をどのようなプロセスで立ち上げてよいかよくわかりませんでした。そのため、ヒントを掴むために、参考になりそうな本を何冊か読みました。その中では、新規事業の実践論(麻生要一 著, NewsPicksパブリッシング)に参考になる内容が多く、実際に記載されていた考え方やフレームワークを活用してきました。そこで、本エントリー含め、ここから数回のエントリーに渡って「新規事業の実践論」に記載されている内容と、当社で行ったことを対比しながら、新規事業の立ち上げ状況をレポートしていきたいと思います。

「新規事業の実践論」では、新規事業開発の適切なプロセスを理解することが重要だと述べられていました。そして、適切なプロセスとは以下の6ステージによって構成されるということです。ちなみにですが、当社の新規事業は「2.MVP期」の真っただ中です。今回のエントリーでは、最初の「WILLの形成」についてお伝えします。

WILLの形成

「新規事業の実践論」では、最初にやるべきことは、WILLの形成とされています。WILLの形成は、「誰の?」「どんな課題を?」という問いから取り組む領域の明確さを、「なぜあなたが?」という問いから使命感・圧倒的当事者意識を、研ぎ澄ましていくことを表しています。そして、WILLを形成するためには、ゲンバ(=課題の震源地)とホンバ(=新規事業開発の最前線)の両方に足を運ばなければならないということです。

私は、2年くらい前から、AI時代の到来が目前に迫っているにも関わらず、当社でAIに関する具体的な取り組みができていないことに危機感を抱いていました。はじめは技術セントリックで構わないからAIを使って何かをはじめたいというおぼろげな考えで、社内の有志とともにAI勉強会を立ち上げるところからスタートしました。それから1年間は、勉強会への参加やプログラミングで独自のAIモデルを作成することを通じて、AIの実力を把握したり、展示会でAIを活用した事業をおこなっている会社の方の話を聞くことによって、事業の創造性を掻き立てたりすることに時間を費やしていました。今になって思うと、このころやっていたことがまさにホンバに触れる経験だったのかもしれません。

前述のような時間を過ごしている間またその後しばらくは、WILLを形成するために頭を抱えていたように思います。「誰の?」「どんな課題を?」「なぜあなたが?」を自問自答し続けましたが、浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す日々が何か月も続きました。読者の方もやっていただくとわかりますが、アイデアを出すこと自体はそんなに難しくありません。しかし、思いついたアイデアが独りよがりなものでないと確証を持つことが難しいのです。確証を持つためには、やはりゲンバに近いところにいるフィードバックをくれる人が必要でした。私にとって幸運だったのは、私のアイデアに対して、フィードバックしてくれる写真館の知人がいたことです。実のところ、私は、近年になって画像処理系AIの活用が進展していることに着目して、画像処理系のAIを活用した写真に関するサービスのアイデアを温めていました。アイデアは二つあったので、それらをパワーポイントの資料にして、写真館の知人に説明しに行きました。そして、そのうちの一つが写真館にとって解決したい課題ということがわかりました。その後も続いている写真館の方とのやり取りおかげで、私のWILLは急速に固まっていきました。

まとめ

今回はこれまでとは趣向を変えて、技術よりではなくビジネス寄りのエントリーにしてみました。新規事業を始めるにあたっては、その中心となる人物が課題を明確にして覚悟を決める、すなわちWILLを形成することがはじめの一歩です。そして、WILLを形成する過程ではホンバとゲンバが欠かせません。当社の場合、WILLを形成するのにトータルで2年くらいはかかったと思いますが、なんとかこのステージはクリアできたと思います。

最後に、今回ご紹介した「新規事業の実践論」に対して私が最もよいと思ったところは、各ステージにおいて、何を考えなければならないか、逆に言うと、何を考えなくてよいかが明確に示されているところです。新規事業立ち上げ時のよくありそうな失敗例として、最初から実現可能性や採算を気にして手詰まりになってしまうということが思いつきます。そうではなくて、まずはWILLの形成、仮説検証はその後のステージでというふうに割り切って前進することが大事なのだと思います。一方で今回は紹介しきれませんでしたが、各ステージへの昇格基準が明確になっているので、それが満たせなければ残念ながら撤退という決断もあり得ます。その場合であっても、できたこととできなかったことが明確になるため会社の財産になることは間違いありません。そういう意味で非常に使いやすいフレームワークになっていると思います。

現在、当社の新規事業は「2.MVP期」の真っただ中ですので、後日のエントリーでは「1.ENTRY期」や「2.MVP期」で取り組んだ内容についてもご紹介したいと思います。楽しみにしていてください。